デナリ国立公園はアラスカで最も多くの観光客が訪れる人気No.1の景勝地です。 米大陸最高峰のMt.マッキンリー(6,194m)を中心に広がるこの雄大な自然保護地域では、 100種類以上の野生動物が、生息しているのであらゆる場所で様々な野生動物の観測が存分に楽しめます。 人間の介入によって、公園内の自然生態系を崩すことのないよう、園内での観光には様々な規制があります。 園内バス観光でも食べ物やゴミの管理がされており公園を出るときにもゴミの回収が徹底されています。
デナリ公園には、早朝6時に出発です。部屋を出ると木製デッキの表面が凍っています。 デナリの昼間は15℃ぐらいになりますが、早朝は0℃まで下がるみたいです。 デナリ国立公園の周遊バスの車窓からは、朝もやの風景が延々と続きます。
アラスカの秋は8月末から9月。特にデナリ国立公園の秋は早く、8月末に始まります。![]()
バスに揺られること2時間、
ようやく最初の野生動物が発見できました。 山の斜面で食べ物を捕食するグリズリーベアーです。と言ってもはるか遠方80m程の距離です。 デジカメのズームでは、黒い点にしか写りません。一眼レフカメラでないと太刀打ちできない距離です。
その右の斜面には、ドールシープ(大角ヒツジ)の群れが十数頭確認できます。 園内バスに乗っている大多数の観光客は、デジカメで白い点を撮影するしかありません。 さらに遠くのドールシープやグリズリーベアーが何度か目撃されていますが、脳裏に焼き付ける方法しか思い浮かびません。 この後、狼の親子も見かけますが、丘の上から眺める2割程度の人たちにしか確認できない程、遠方です。
乗客のフラストレーションが高まる中、別の園内バスから乗客が降りて大騒動になっている状況に遭遇しました。 どうやらバス内部で熊よけのスプレーが噴射された様です。 熊よけのスプレーは、熊に対面した際に熊めがけて5秒間噴射しないと効かない唐辛子スプレーだそうですが、 熊の攻撃を避けながら噴射するのは並外れた身体能力が要求されます。
しかもバス内部に熊が出現した情報はありませんでした。 一方バスの後方の座席の人たちには、ホッキョクジリスがこちらの様子を伺っている姿が目撃されていました。 こちらも被写体が小さい上に遠方でなかなかファインダーには収まりません。
窓の外を眺める私たちを横目で見ながら他の園内バスが通り過ぎるのですが、私たちのバスは一向に動こうとしません。 説明によると、このバスの運転手が第一発見者ということで事情聴取されていた模様です。 園内バスが停車すること約30分、当然バス内部は険悪なムードが漂ってきます。 被災者が救急搬送されましたが、運転手からは大した説明も謝罪もありません。怒りが収まらない2名がバスを下車していきました。
通り過ぎたバスが引き返してきて再び通り過ぎる頃バスは、ようやく走り出しました。
沈黙の続くひと時を過ごすと前方にドールシープの集団が道路脇に居座って渋滞している場面に遭遇しました。 道路の両側10m以内に知らん顔で草を食んでいるドールシープが居座っています。 大半の人たちは、この時の写真が間近で見る始めての野生動物の撮影だった事でしょう。
その後、数名がなんとか最後の獲物を瞳に焼き付けようと監視カメラの様に木陰の奥の被写体までも捜索しています。 走行中の左右に注意を注ぐうち突然眼前に立派な角を携えたカリブーを発見しました。 誰も気づいていないのかと思う反面、私は無意識のうちに大声で”ストップ”と叫んでいました。 私たちの乗車席の左真横10m程の位置にこちらのバスに気づいて佇むカリブーの撮影に成功しました。ヤッター!本日、一番の発見と自己満足していた数分後、野生動物との遭遇はこんなもんさと諦め顔のメンバーが 最後のトイレ休憩を終えバスが出発すると、お疲れムードで睡眠に入る人も出てきました。
低速で走行するうち清流を横切る橋の上を通り過ぎる瞬間、レッドサーモンが4、5匹視界に入りましたが、今度は”STOP”が言えませんでした。 心の中で”レッドサーモンでバスは止められないだろうし、もうゴミも片付けてツアーも終わったからな”と思っていました。 ところが帰路を走る道路上にさらに立派な容姿のカリブーが行き場を失い、程なくするとこちらに向かって走ってきます。 シャッター音の鳴り響く中、大歓声のうちにカリブーは視界から消えてゆきます。 撮影には成功しましたが、心の中でレッドサーモンの時、STOPと言えば良かったと無念の思いが現在も悔やまれます。残念〜切腹!・・・古っ!
その後、秋色の風景に色づく公園内を走り抜けるとデナリ観光は、終了です。 バスは、自分たちの降車する場所を目前にしながら片道20分程の白人観光客の泊まるホテルまで南下して客を降ろすと もと来た道を引き返していきます。先に降ろしてもらえれば・・・という思いが脳裏をかすめます。 バスを降りると運転手にチップを渡さなければなりませんが、こんなにチップをあげたくない気分でも皆が渡していれば 渡さざるをえません。日本人ってどうして周りを気にしてしまうのでしょうか。
15時すぎの遅い昼食を済ませるとフェアバンクスに向けてバスは走ります。ドライバーはアンカレッジの時のラスさんです。 バスが出発した直後、観光中は晴れていたのに割とまとまった雨が急に降ってきました。
運の良さをつくづく感じながらアラスカの国道を北上していきます。 途中のトイレ休憩でネナナという街に立ち寄ります。ここでは毎年春に氷が溶ける日にちを予想して懸賞金が貰えるイベントが開催されているそうです。 誰でも2.5ドルで参加できますが、当たった場合は、ネナナまで賞金を取りに来なければならないという事です。・・・
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